| バー紀行誕生秘話 決意の時 |
「そのラーメンの中にバーの事を書いてくれないか」
正直、あせった。確かにラーメン紀行の中にバーの事を書くのは簡単だ。同じ飲食店を扱う仕組みを持っているからだ。しかしだ。何を書けば良いんだ?
「いやいや。私はお酒の事は全然、判らないからダメですよ」
そう言ってやんわりと断ろうとした。しかし…
「おい、○田。ジンフィズを作ってくれ」
マスター曰く。カクテルの中でもベーシックながら店の違いが出るのがジンフィズらしい。
「初めての店で1杯目にジンフィズ。2杯目にマティーニを頼んだら「この人は違うな」と一目置かれるよ」
そのジンフィズを先ずはそのまま頂き、次に若干、レシピを変えた物を更に一杯頂く。もちろん、全てタダだ。
「どう、違いが判るかい?」
正直、若干の違いがあるのは判るがそれが何を変えた事の結果なのかが判らない。その旨を正直に伝えた。すると…
「おい、○田、ジンを持って来い」
そうお弟子さんのバーテンダーに言うと今度はショットグラスに少しづつ入った4種類のジンとチェイサーが差し出された。
「じゃあ、右の奴から飲んでみようか」
もう、軽くバーテンダー養成講座が始まっていた。その4種類のジンは今思えば度数と香りが少しづつ違うものだった。しかし、当時の私はストレートで酒を飲んだ経験がないのでどれも同じに思えた。
そんな講座も終わり、マスターは帰って行った。店にはお弟子さんのバーテンダーと私が残った。
「○田君、どうしよう… 何を書けば良いと思う?」
ここまでしてもらった訳だから書くのは構わないが正直、何を書いたら良いのかが判らない。そして、ラーメン店とバーをごっちゃ混ぜで掲載する事は読者にとっても非常に使いにくいサイトになってしまうのが明らかだった。
そこで先ずは公開目前だった新しいサーバーによるラーメン紀行を見直すことにした。ラーメンとは別にバーを題材にするサイトの構築。仕組みはあるがデータベース上でデー夕を分ける仕組みがないので先ずはそこを作り直す。公開が遅れるのは仕方ないが丁度、先日の震災の後で計画停電などの煽りもあって公開に二の足を踏んでいた時期だったのでプログラム、データベース構造を全面的に見直すことにした。
そして、バーの何を書くのか?と言う部分であるが、今回はバーに行った事がない初心者がバーに対して持っている敷居の高いイメージを低くする事を目的にすることにした。それは自分自身への逃げ道でもあったがバー自体は非常に良い場所だ。その何たるかは後述するが、一人でも多くの方にバーを利用してもらいたいと言う気持ちはあった。その一助に私のサイトがなれば良いと思った。
また、店を取材した時の寸評は店内の雰囲気。オーダーのためのメニュー表の有無。フード関連の情報など、お酒に関係ない事を中心に記述することにした。置いてある酒について銘柄を挙げてもキリがない。また、掲載を目的に飲みに行っているとは言え、何本あるか見当も付かない酒の銘柄と値段を書いてたら酔う事はおろか、店を出ることが出来ないほど酒の数は多い。なのでメニューについても記述を止めることにした。
ただ、前述の通り、バーテンダーとの会話と言う部分で言えば、やはりお酒に関する話題が一番盛り上がるのは事実。バーテンダーの庭先に行くのだから当然のことだ。
そこで、バーに関する用語、用具、お酒などのちょっとした知識は「バー用語辞典」としてまとめることにした。そこを読んでちょっと知識を仕入れてからバーに望んでもらえれば初心者の方もバーテンダーとの会話を楽しめるのはないか?と考えた。もちろん、このコラムでもバーやお酒に関する話題を書いていこうと思っている。
色々と考え、やっとサイトの方向性が固まった訳であるが、最後に最大の問題が残っていた。
(つづく)

