| もうデブとは言わせない! 第6章 デブと言う呪縛から解放される日 |
公開日:2008/05/18
私はこれまで「デブ」と言うカテゴリーに属し、その呪縛から抜け出せないでいた。
デブと言う呪縛から抜け出る方法はいくつかあるが、先ずはまわりの人達が私を「デブ」と言うカテゴリーから外してくれること。
そしてもう一つは私自身が「自分はもうデブじゃない」と言う心の呪縛から解放されることが必須条件になると思う。
では他人が私を「デブ」と言うカテゴリーから外してくれていることをどう知ろうか。それはまわりの人達の「気付き」を感じることで判ってくる。
ダイエットが進み、開始から3ヶ月間はまるでジェットコースターが頂点から一気に落下するかの如く、体重が落ちていく。毎日、体重計に乗っては「今日は○g痩せた」、「今日も○g減ってる!」と毎朝、ほくそ笑んでいる40代のオヤジは想像するだけでキモい。(と自分でも思う)
そんな訳で個人的にはウキウキ気分なのであるが、まわりの人って言うのは意外と気が付かない。特に毎日勤務先で会っている人はその小さな変化を毎日目の当たりにしているから当然であろう。
著者である岡田氏が著書内で書いているまわりの人の変化がハッキリと記載されているのは25kg以上落ちた時だと書かれている。25kg落ちると言うことは岡田氏の体重と照らし合わせると92kg近辺になった時だ。117kgの巨漢が92kgになったのだ。絶頂期の岡田氏を知っている人達はさぞ、驚いたであろう。
で、自分はどのくらい痩せればまわりの人は私の体つきの変化に気が付くのであろうと思っていた。また、一番最初に私の変化に気付くのは誰なんだろう?非常に興味があった。
ダイエットをはじめて54日目。その瞬間は来た。メモに記録されている体重は89.4kg。体脂肪率は29%。約12kg減量したときのことだった。
そろそろ師走となる11月25日。私はこの日。来年行われるライブに向けてバンドの練習のため貸しスタジオに来ていた。
我がバンドのボーカルでありバンマスである同僚。彼とは共通点が多い。同性、同年齢。そして同体形である。
そんな彼がダイエットをしていた時期も知っていた。人伝に聞いた話だが彼は某エステサロンの開発したダイエットスープを飲んでいた時期があった。かれこれ2年近く前だったと思う。かなり痩せた彼を見て、当時の私は触発されて「ヘルシア緑茶」を飲み始めたのは言うまでもない。彼とは同じ会社の同僚ではあるが勤務先が違うので普段から彼を見ている訳ではない。たまに会社で会う程度だ。だから会う時はちょっとだけ久しぶりであり、身体の変化にお互い気付きやすい。
そんな彼が私を見るなり、開口一発。
「痩せたよねぇ」
ダイエットを始めてからこっち、その変化に初めて気付いたのはやっぱお互い同じ悩みを持っている者同士であった。私は実践しているダイエットの詳細や著書の話をして勧めた。一緒にやれば励みになるし、成人病なども心配な年頃である。同時に痩せたら会社の人達もビックリであろう。だって彼と私は会社の重量級ナンバー1、2を独走していたんだもん。
それから時は流れ12月29日。今日は会社の納会でほぼ全社員が集まる。ダイエット開始から88日目。体重は84.2kg。体脂肪率は27%と記録されている。
この日も私の体形の変化に気が付いた人がいた。私の昔の直属の上司に当たる課長代理である。
「おい、痩せたなぁ~」
「判ります?」
「顎のラインがスッキリしてるよ」
私はここでも吹聴し、ダイエット法の事を話した。そんな話をしながらまわりを見ると、遠巻きに私のことを見ている女子社員の多いこと。私も自分の腹がかなりスッキリしてきたと気付いていた頃で、腹が強調出来る服装にしていた。
デブの服装って襟付きのシャツの裾をパンツの中には仕舞わずに出して着ることが多い。これは腹が出ているのを隠すためにそうするのである。またニットシャツなどは腹のラインが強調されるので持ってはいるがあまり着る機会がなかった。この頃は逆に腹を強調させるためにあえてニットシャツを着ていったのだ。効果はバツグンであった。(ある意味、確信犯である…)
年が明けた1月26日。ライブの当日である。この日のメモにはダイエット開始から116日目。体重が80.9kg。体脂肪率は20.9%と記録されている。(年末に体重計を新調した関係で体脂肪率が少数点下1桁まで表示されるようになっている)
「私、今日はどうしても聞きたいことがあるんです」
いきなりの告白…いや、質問であった。内容は勿論、「何でそんなに痩せられたのか?」と言うことだ。社内で1、2位を争う巨漢がいきなりの激痩せ。しかも、聞きに来た人には吹聴するが、会社の同僚は普段はあまり会わないので「何で痩せたのか?」と言う事が伝わっていないようだ。
ここでもこれまでの武勇伝を吹聴し、著書のことを紹介した。あれからこの社員と話す機会がないのだが実践しているのであろうか?
最近は毎日顔を会わせている勤務先の人達にも「痩せたねぇ」と言ってもらえるようになった。こうなると私も既に「デブ」と言うカテゴリーからは外れているように思えた。そして、その言葉達は確実に私自身の自信となっていた。しかし、自分の中ではどこかで『俺って本当に痩せたのか?』と思うこともある。自分の中で自分を「デブ」とカテゴライズしている感がある。だが先日、スーツを買いに行った時、その呪縛から解放されたのだ。
昔の私がスーツを買いに行く。採寸され、「B7ですね」と言われて店員が歩き出す。私も一緒に付いていく。すると、「この辺りがお客様のサイズですね」と沢山スーツの掛けられた陳列の一番隅っこに案内される。
「ここから、ここまでですね」
その幅僅か30cm。掛かっているスーツは僅かに数着。この中から選べと言うのだ。
『デブは着れる服を着ておけ。置いてあるだけマシだろ』って感じだ。勿論、お洒落なんて出来る訳もない。「じゃあ、これとこれで…」と決めるのも早い。だって悩むほど数が無いんだもん。
それからはイージーオーダーと言う生地から選ぶスーツを買っていた。値段は既製品よりは少し高いが、選ぶ幅は段違いであった。デブは着る物は特に金がかかるのだ…
「それでは採寸しますので…」
着丈やウェストを計る。身長を告げると「AB7ですね」と告げられた。好みを告げると次々とスーツが出てくる。あれやこれやと注文も出来る。
「もうちょっとウェストがタイトな奴ってないですか?」
生地の色、スーツの形、何でもある。しかも既製品なんで安い。痩せているってこんなに自由なんだと思い知らされた。これだけでも得した気分だ。
「それではスラックスの丈を合わせますのであそこで履いていただけますか」
試着室に入り、スラっとしたノータックのスラックスを履く。ウェストがやけに細いので一瞬、「入るのか?」とビクビクするがスルっと身体が収まった。目の前にある鏡にその姿が映してみる。俺って気が付かない内にこんなにケツが小さくなっていたのか!と心の中でガッツポーズだ。
金メダルを取ったアスリートが優勝直後はその実感がないように、私もその小さくなったケツを見るまであまり実感がなかった。
しかし、鏡の中に映るスラっとしたスーツ姿の人物は紛れもない私の姿だったのだ。
(つづく)
