| バーの時間の過し方 提供前のグラスに触れる |
先日のこと。
行きつけのバーで一人で飲んでいると、アベック(死語?)の二人連れのお客がやってきた。
年の頃は20代であろうか、彼が少しだけバー慣れしている感じで彼女をエスコートしているように見えた。
バーテンダーがオーダーを取りに行く。それぞれ、一杯目のオーダーが決まったようで、バーテンダーが作り始める。
それから時が経ち、二人のグラスがそれぞれ空になった頃。バーテンダーが次のオーダーを取りに行く。
彼女はフレッシュ・フルーツを使用したカクテル。彼氏は炭酸系のロングカクテルを所望したようだ。
当たり前だがバーテンダーは2杯を同時に提供しようと考えている訳で、両手にグラスを持って彼らの元へ。
彼氏のオーダーしたタンブラーを一旦、カウンター上に置き、彼女の飲み終わったグラスを撤去しつつ、出来上がったばかりの丸型のタンブラーを置きはじめる。
その時のことだ。
彼氏は自分の飲み終わったグラスを前方に下げ、バーテンダーが一旦置いておいたタンブラーを自分のコースターへ置く。
このような光景を見た時、皆さんはどのように感じるのであろうか。
私がこの光景を見た時、頭の中に2つの言葉が浮かんだ。
一つは「無粋」。もう一つは「危険」である。
居酒屋では良く見る光景だが、ジョッキを何杯も持ってきた店員に対し、「ほら、奥にジョッキ回して!」みたいな感じでグラスを客自らがサーブする。
店員が一杯つづ、お客にサーブしたのでは時間がかかるので店員の手間を省く意味合いがある。
これ自体は悪い事ではない。ただ、バーではちょっと意味合いが違ってくる。
そもそも、バーになんか来てる時点でお客である私達は時間がかかることに対して寛容になった方が良い。
それでなくてもフレッシュ・フルーツを使用したカクテルなんて時間と手間がかかるものだ。
それが待てないなら、他所に行った方がよい。
勿論、バーテンダーが最大限、スピーディーに提供しようと心がけているのは言うまでもないが、ハイボール一杯作るにも、居酒屋とは違う工程をいくつも踏んでいるのがバーだ。
その工程を踏む理由は紛れもなく「その工程を踏んだ方が美味いハイボールが作れる」からだ。
あくまでこれは個人的な意見だが、バーは居酒屋とは違い、変なお客や泥酔客が少ないという雰囲気、バーテンダーのホスピタリティなど、対価である商品にかからない値段的な価値を享受する場所でもある。
今回の行為は、バーテンダーのホスピタリティを無視した結果であり、無粋にしか見えなかった。
また、バーテンダーが彼女のグラスを取り替える作業中であるにも関わらず、手を出す行為は、例えばバーテンダーと彼氏の持ったグラスが触れ、割れるといった事故にもなりかねない危険な行為だ。
バーで商品が提供される時は、バーテンダーがコースターを差し出して「お待たせしました」といわれるまでは手を付けちゃいけない。
その言葉が出るまでは飼い主に「待て!」と言われてお預け状態になっている犬のような気持ちで待つくらいの余裕が欲しいものだ。

