| バーの時間の過し方 椅子の形状から店側の真意を知る |
先日、ネットニュースを見ていると、「複数人でラーメン屋に入った時、一人が先食べ終わったら、連れを残して席を空けるべきか」という話題があがっていた。(詳しくはコチラから)
特に人気ラーメン店であれば、外には長い行列が出来ているので、お客側からの立場で言えば、「待ってるやつがいるんだから食べ終わったやつは早く退店しろ」ということだろう。
この話題に対して、お店側が公式に言及することは、お客に対して物申すこととなり、延いては現代社会においては「炎上」の原因にもなりかねないのでないとは思う。
ただ、私が店側の立場だったら、それでなくても薄利多売なビジネスモデルなのに長い間、席に居続けられるのは迷惑な行為でしかないだろう。
ネットから適当に最近できたと思われるラーメン屋の画像を拾ってきた。
今どきな感じの店作りで昔のラーメン店とは違い、お洒落な演出空間である。
ただ、注目してみて欲しいのは椅子の形状。
背もたれもなく、座面も硬い木製のものを採用しているのが判るだろうか。
これらの椅子から店側の意図が読み取れる。
この椅子で1時間以上、座っていたらお尻が痛くなるのは想像に容易い。
ラーメンをオーダーして、調理を待って、ラーメンが出てきて食べ終わるまで、まぁ30分といったところだろうか。
その程度の滞在時間しか想定していないし、ゆっくりしてもらおうなんて微塵も思ってないだろう。
バーの話をする前に、ラーメン屋とバーの中間に位置する店を見てみよう。
昼間の商売で長居できる場所といって私が真っ先に思い出すのがカフェや喫茶店だ。
地元三島市内にある、比較的新しいカフェや、お隣の沼津市にある老舗喫茶店の画像を見てみよう。
椅子は背もたれ付きが多く、座面はふわふわで座りやすい。
カウンターに座るというよりはテーブル席でゆったり過ごす感じを想定しているのが判る。
テーブル席でコーヒーや紅茶を飲みながら、読書をしたり、ノートPCを持ち込んだりする姿を目にすることも多い。
滞在時間的には1時間程度を想定しているので、喫茶店やカフェ飯の食事は800円から1200円程度。ドリンクも600円から800円程度とそれなりに高額だ。
で、前置きが長くなったが、ではバーはどうだろうか。
典型的なオーセンティック・バーの場合、カウンター席であったとしても低いカウンターでローチェアを使用している店が多い。
滞在時間は2時間程度を店側が考えているのが判る。
バーは薄利多売の逆、高利少売のビジネスモデルである。
そもそも、アルコールを提供しているので、オーダーした1杯をグビグビと飲むことをしない。
店内で泥酔されても困るので、そんな飲み方をした日にはバーテンダーが注意するだろう。
ある程度、ゆっくりとお酒を楽しむ。
以前からこのコラムで書いているが、ウイスキーなどのハードリカーであれば、1杯2~30分程度を目安にするのが良いだろう。
また、店内での会話も許されているのがラーメン屋とは違う点だろう。
まぁ、「このラーメン、美味いねぇ」くらいの会話はできても、ラーメン屋の店内でバーでされているような会話を延々としながらラーメンをすするのは無理だろう。
このような会話などの時間、喫煙する時間、物思いにふける時間など、バーで過ごす時間は飲食行為以外にも様々である。
前述した記事の話題にバーをなぞらえると、そもそもバーに行列は出来ないし、外から店内が見えないので、混んでいるかは入店してみるまで判らない。
なので、行列客の無言の圧力に屈することもない。
だからといって、グラスの中が空になってもダラダラと居続けるのはNGということはこのコラムでも何度か書いている。
その辺りを考えられる客がバーでいう「良客」と呼ばれる人達であろう。
こんなことを書きながら、私自身も反省することが多い。
身の引き締まる思いである。

