バーの時間の過し方 「あちらの方からです」は幻想

文頭からバーとは全く関係ない話で恐縮だが、現代の若い男女を描いたドラマって結構爽やかな感じかコミカルなタッチのドラマが多いように思います。
その「爽やかさ」を感じさせる要因として所謂飲酒のシーンが少なく、仮にあったとしても居酒屋や焼き鳥屋が多いように思います。
現代の若者の世相を反映している感じでもありますよね。

私が若い頃は「トレンディー・ドラマ」と言うのが流行っていて、現代と同じように男女の恋の行方を描いた物が結構ありましたが食事のシーンはイタリアンやフレンチ。飲酒はバーが結構多かったように思います。
まぁ当時はバブルな時代だったので男女共に洋服にもお金がかかってましたし、飲食代も結構な額を使っていたように思います。

イメージそんなドラマの中で良く出てくるシーンというのが「あちらの方からです」と女性の前に差し出されるカクテル。
その女性がバーテンダーがいう「あちら」の方を向くとイケメンがグラスをスッと上げて会釈をする。
そんなシーンが良くあったものです。


話を戻しますが、とあるバーでのこと。
季節柄、社員研修が三島で行われたという新入社員の男女。同期の中でもお酒が好きでバーに興味があるという二人に出会った事がある。
その中で語られたのが正にその「あちらの方からです」というフレーズ。
その女性の方に「そういうのが来たらどうする?」と訊ねると、「ちょっと気持ちわるいですね」との答え。
個人的には私も同意見です。
その女性の嗜好が判らない以上、勧めたカクテルを美味しく飲んで頂けるかは結構確率の低い話です。
また、そういう誘い方って下心が丸出しで個人的にはかなり格好わるく映ります。

百歩譲って、彼女の飲んでいるカクテルの話になったとして、「じゃあこんなのが良いんじゃない?」と勧めたカクテルがあったとしよう。
そっとバーテンダーに『こちらに付けといて』と耳打ちなりジェスチャーで知らせて、その一杯の勘定はこちら持ちなら判ります。
しかも、相手に知られないように行うのがスマートだと思います。


話は少し変わりますが行き付けのバーでの事。
金曜日の夜。9時過ぎからそのバーに居るがお客が全く入ってこない。

「まぁ、こんな日もあるよ」

そんな話をしながら時計は23時半をまわっている。
そろそろチェックしようかと考えていた時のことだ。

「人通りはどうなんでしょうかね?」

そう言ってバーテンダーが外の様子を見に行った時のこと。同時に一人の女性客が入ってきた。
この女性、このバーに入ってみたいと考えていた所にバーテンダーと鉢合わせしたので入店出来たと言っている。
若くてパッと見は綺麗な感じの彼女は結構酔っている感じだが、人と話すのは場慣れした感じもある。
店内は私とバーテンダー、その女性しかいないので自然と話をするようになった。
バーに興味があるということで一頻り、話をしたのだが何だか慣れなれしい距離感に違和感を感じ始めていた。
そんな感じで距離感を詰めてくる異性というのは大概「裏の何か」を持っているもの。
前述の話ではないが「下心」が見え隠れするのだ。

閉店時間を過ぎたのでチェックをお願いする。
バーテンダーが二人分の明細をそれぞれの前に差し出した。
お金を払う私と何故か私を見ている彼女。
何だ、その視線は。ははぁ~ん、判ったぞ。私に奢れって事か。
勿論、行きずりの客の支払いなんて私には関係ないことなので、「チェックですよ、お会計ですよ」と酔ったフリをする彼女をやんわりと促す。
渋々と言った感じでお会計をする彼女。

いやぁ~、下心って本当に怖いですね。

公開日:2018/04/15

ページトップに戻る