| カクテルに関する話題 バーテンダーの憂鬱 前編 |
とあるバーでのこと。
バーテンダーとカクテルについて話をしていると、オーダーに関する困り事について聞く事が出来た。
皆さんもカクテルをオーダーする時、色々な注文をつける事があると思います。
かくいう私もこれまでこのコラムの「メニューはありますか?」で「甘めで、炭酸を使わず、サッパリしたものを」等と飲みたいと考えるものを言葉で発してみると書いています。
そのバーテンダーが言っていた注文は次の3つの条件。
1.ロング・カクテルである。
2.あまり甘くないこと。
3.炭酸を使わないこと。
「そんなに難しい注文か?」と思うでしょ。私も当初はそう思っていました。
他店でこの注文を投げかけた時、何が出てくるのか、私自身が強い興味を持ちました。
そこで、今回はこの3つの注文を若い女性が言ったとき、何が出てくるのか、7店のバーにお願いしてオーダーしてみました。
■シーブリーズ
先ずは大岡にあるRADIO STATION。
今回の調査でたまたまトップバッターでオーダーをした店です。
出てきたカクテルは「シーブリーズ」というカクテル。私も何度か耳にしたことのあるカクテルです。
ウォッカ 1/3
クランベリー・ジュース 1/3
グレープフルーツ・ジュース 1/3
上記を氷を入れたタンブラーに注ぎ、軽くステアして完成です。
ちなみに「甘くない」という加減はバーテンダー自身が考える感性に任せてあります。
甘さに対する許容は人それぞれですし、私はその「若い女性」ではありませんから。
■イルポスティーノ
今回のカクテルはスタンダードでもオリジナルでも、その注文さえ満たしていれば問わないルール。
次に注文をお願いしたのは三島にあるOld Pal。
「イルポスティーノ」というこのカクテルはオリジナル・カクテルです。
リモンチェッロ・リキュール
グレープフルーツ・ジュース
レモン・ジュース
(分量は聞くのを忘れました…)
上記を氷を入れたタンブラーに注ぎ、軽くステアして完成です。
「イルポスティーノ」とは1994年に製作されたイタリア映画のタイトル名で、実在の詩人パブロ・ネルーダが、ナポリ湾のカプリ島に身を寄せた史実にもとづくストーリ。
対してリモンチェッロもナポリ湾のカプリ島などが産地になっていることからこの名前が付けられています。
リモンチェッロ・リキュール香りや味をスポイルすることのないグレープフルーツ・ジュースの量と補強として加えられたレモン・ジュースのバランスが良く、レモンの穏やかな酸味と、グレープフルーツ由来の苦味も穏やかに感じられます。
■石垣スペシャル
次に注文をお願いしたのは三島にあるAFTER BAR 石垣。
三島では古参のオーセンティック・バーになります。
この店で出して頂いたカクテルは他のバーの周年記念に作ったカクテルのようです。
「名前は?」との問に「ない!」とおしゃられていたので勝手に「石垣スペシャル」と命名しました(笑)
ジン 45ml
クランベリージュース 適量
レモン・ジュース 1tsp.
上記を氷を入れたタンブラーに注ぎ、軽くステアして完成です。
クランベリージュースの甘さをレモン・ジュースで若干スポイルする形で調整している印象です。
この辺りから「炭酸を使わない」という条件が結構厳しい事に自身も気付きはじめました。
ソーダ、トニック・ウォータ、ジンジャーエール、コーラ辺りが封印されたのと同じで、そうなるとクランベリージュースや柑橘系のジュースが全体を占める割合として多くなります。
■バーサ(オリジナル・レシピ)
この辺りから「結構大変な注文をしているのかも」と思いながら向ったのが三島にあるBar Vevedores。
上記の注文をお願いするとかなり真剣に色々な事を考えていただきました。
そこでバーテンダーが出した答えが「バーサ」というカクテル。
テキーラ 1/3
グレープフルーツ・ジュース 2/3
ライム 1片
ブルーキュラソー 1tsp.
氷を入れたコリンズグラスにライムを搾り、落とします。
そしてテキーラ、グレープフルーツ・ジュースを注ぎ、軽くステアした後、ブルーキュラソーを静かに流し込んで完成です。
本来のバーサはブルーキュラソーではなくグレナデン・シロップを使います。
しかし、バーテンダーは「暖色系の色は甘さを想像させる」という見た目からの「甘くない」を追求した結果、ブルーキュラソーを使用して寒色系の見た目に仕上げています。
テキーラの香りが漂う中、グレープフルーツ・ジュースからの甘みをライムでスポイルしているこのカクテルは見た目も然る事ながら、味わい的にも本当に甘みを抑えてあります。
ある意味、「オーダー通り」のカクテルが出てきました。
(後編へ続く)

