| 小ネタ集 蒸留と蒸溜の違い |
先日、ネットを見ているとあるブログ記事を見つけた。
その記事に書かれていたのは「蒸留酒」と「蒸溜酒」の表記についてのことだった。
ウイスキーに限らず、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラと多くのスピリッツが該当する蒸留酒であるが、ことお酒に関しては「蒸溜酒」と表記するのが正しいらしい。
蒸留とは、色々な成分からなる混合物の沸点の差を利用して分離、濃縮を行うことを指し、ウイスキーで言えば水とアルコール(エタノール)を分離、濃縮する人為的操作である。
ちなみに、水の沸点は皆さんご存知の通り、100℃であるが、エタノールは78.3℃。エタノールの方が先に蒸気として気化するため、その蒸気を集めて冷却することで水と分離させ、度数を上げるのである。
前述した「蒸留酒」と「蒸溜酒」の違いは「留」と「溜」の「さんずい」の違いなのであるが、「水」を表す「さんずい」はお酒造りの現場ではお酒を表しているという。
確かにサントリーなどのHPを見ていると「山崎蒸溜所」、「白州蒸溜所」との記載である。
では何故、「留」と「溜」という2つの書き方が存在するかと言えば、これは「同音の漢字による書き換え」というのが関与しているようです。
文化庁のHPにこんな記載がありました。
「国語審議会は,当用漢字の適用を円滑にするため,当用漢字表にない漢字を含んで構成されている漢語を処理する方法の一つとして,表中同音の別の漢字に書きかえることを審議し,その結果、別紙「同音の漢字による書きかえ」を決定した。 当用漢字を使用する際、これが広く参考として用いられることを希望する。」
(参照元:「同音の漢字による書きかえ」について(報告))
このページからリンクしているPDFにも「留」と「溜」が掲載されています。
要は現在は「留」を使いましょうということですよね。別に間違いではないと思います。
では何故、蒸溜所には「溜」が多いのか?
ここからはあくまで個人的な見解ですが…
当用漢字の制定が1946年、前述の書き換えを決定したのが1956年です。
日本最古の蒸溜所である山崎蒸溜所の開所は1923年、余市蒸溜所が1934年です。
日本の2大ウイスキーメーカーがこの当用漢字の制定前に開所しているので、「留」の字自体が存在していない訳です。
サントリー、ニッカが2番目の蒸溜所となる宮城狭、白州を開所したのがそれぞれ1969年と1973年と当用漢字の制定後に開所していますが、最初の蒸溜所に倣うのは当然の事。
それがデファクトスタンダード(業界標準)となって蒸留所には「蒸溜所」を使うのが一般的になったのかと思います。
「「水」を表す「さんずい」はお酒造りの現場ではお酒を表している」とありましたが、時系列で物事を考えた場合、私の見解は概ね、筋が通っていると思うのですが、いかがでしょうか?
まぁ、バー紀行では全て「蒸溜」を使っていますけどね(笑)

