一人旅 第一夜 旅立ちの日

公開日:2008/09/24

勤務先を定時であがった私は空を見上げてため息をついた。
数日前から気にはなっていた台風13号が見事なタイミングで接近している。下手をすると静岡県上陸の恐れもある。こんな日に旅行へ立とうとしているのだから先が思いやられる。流石は本厄である。
 
 
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この旅行を企画したのは今から1ヶ月前のこと。地元の夏祭りに合わせて取ろうとした夏休みが急な仕事でオシャカになった。8月中の夏休みは諦めようと考えた時、9月のカレンダーには連休が目白押しなのに気がついた。
9月20日~23日の飛び石連休のこのポカンと空いた22日に休暇を取れば4連休になる。そう考えた私は早速旅行プランを考えた。そして旅行会社に行って必要なチケットや宿泊先をオーダーしていたのであった。
 
 
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出発までにはまだ時間がある。取り合えず腹ごしらえをするためにいつものようにサブウェイに出かける。
今日は昼にサブ以外の昼飯だったこともあり、代替で夜サブとなった訳である。
夜のサブは大概空いている。昼飯時はイートインの客も多いが、夜は圧倒的にテイクアウトの客が多い。たまたま、新人バイトが出勤している関係でいつもの店長も珍しく夜の時間帯に出勤していた。
昼は忙しそうで話しかけないのだが、夜サブの時は暇そうな時を見つけては色々と話をする。台風の中、これから旅行に出かけることなど、話は尽きない。また、旅行先でもサブに行く予定があることや他店でサンドイッチカード(スタンプを貯めると200円で好きなサンドイッチとドリンクが食べられる)が使えるかなどを聞いてみた。この店で貯めたスタンプを他店で使うのは多少の後ろめたさも感じたが特に問題はないと言う。
出発前の夕飯はベジーデライト、タンドリーチキンラップ、ホットカフェラテ。多少、腹持ちの良い構成にしてみた。これから先、ちょっとした苦難が待っているからだ。
夕飯も食べ終わり、サブウェイを後にする。この時点で19時過ぎ。まだ出発には早い時間だ。もう少し時間を潰さなければならない。台風がもたらす雨はさっきより酷くなっている。本当にこの旅がはじめられるのであろうか。出発前から不安を隠せない。
 
行きつけのワンショットバーで時間を潰すことにした。正直、2次会以降の時間帯にしか利用しないこの店にこの時間に行く事自体、珍しいことだ。
 
店先に到着するといつもは空いているドアが閉まっている。
嫌な予感は的中する。
少しばかり時間が早すぎたようだ。
店先で待っていても仕方ないので少しの間、ドンキホーテで買い物。
半分は旅行のためにと購入したデジカメのSDカードの予備を買っておくことにした。
と言うか予備を家に忘れてきてしまったのだ。
数点の買い物を済ませ再び、先ほどの店へ。
流石に今度はいつものようにドアが開いていた。
入店するとやはり一番乗り。
いつものカウンターに腰をかけ、フォアローゼズのプラチナを水割りでオーダーした。
この店が良いのはあまり他店では扱っていないプラチナが置いてあることだ。
それまでは白や黒を飲んでいたが、この店でプラチナを覚えた私はこの店に限ってはフォアローゼズのプラチナしかオーダーしない。
値段は多少高いがそれに見合うだけの高貴な香りが私を待っている。
 
これから家に帰って寝るだけなら良いのだが旅立たなければならない私は後ろ髪を引かれる思いで店を後にする。出発1時間前だ。とにかくワイシャツとスラックスでは旅行にはいけない。普段着に着替えなければならない。
 
静岡駅のコインロッカーに朝方預けた旅行用のキャスターバックを取りにいく。
静岡駅は最近、駅の整備が進んでいてますます綺麗になっていく。
外に吹き抜けるエントランスは地方都市とは言え、政令指定都市に相応しい出来栄えになっている。
適当なトイレの個室を借りてキャスターバックから普段着を取り出し、着替えも完了。
乗車するために駅構内を歩き出した。
駅の外は台風の影響でスゴい雨と多少強めの風が舞っている。
キャスターバックを片手にバス乗り場にやってきた。
タクシー乗り場方面はよく利用する私であるが、反対側にこんな立派なバス乗り場があることを私はよく判ってなかった。
9番と書かれたバス停。一日に数回のバスしか来ることのない田舎町にあるようなガラガラの時刻表だ。
私の乗るバスは22時発。京阪神ドリーム静岡号と言う。
ここまで書いて勘の良い人はもうお判りであろう。
そう、今回の旅に使用する移動手段は深夜バスである。そして行き先はズバリ!
 
 

食い倒れの街 大阪!
 
 

定刻通り、バスが到着した。台風の影響で昼間に何度か運行するのか、しないのかを確認したのだが最終的には運行することになったようだ。
キャスターバックだけをトランクに預け、手荷物だけを持って車内に入る。ちなみに私の席は一番前の窓際。ナイスな席である。
このバスは静岡県内の西部各所で乗客を拾いながら、最終的に京都、大阪、神戸の3都市を目指す。
22時。定刻通り、バスは出発した。
この時点で既に窓のカーテンは全て閉まっているため、走行状況が中からは全く判らない。
よく車酔いをする人は前の方の席に座ると言うのがあるが、深夜バスは乗り物酔いし易い人は無理だと思う。私自身はそれほど乗り物酔いする方ではないが、これだけ外界の状況を遮断されると正直不安である。

夜通し、バスは京阪神を目指す訳であるが乗客が唯一、休憩などで下車出来るのは一度だけだ。トイレはバス内にあるのだが、タバコも吸いたいし…

 
 
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深夜1時過ぎ。
最初で最後の休憩場所である「上郷SA」に到着。
何処にあるSAかは知らないが中井PAより若干大きく、海老名SAよりは多少小さい規模のSAである。
タバコの吸い溜めと言うのは出来ないのだが最後の一服をしてバスに戻った。
ここまでやって来ての感想だが正直、熟睡は出来そうにない。うつらうつらしながら、次に目覚めた時は大阪に着いているであろう。
 
つづく

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