| 出会い系サイト その3 |
公開日:2003/05/01
銀行に到着した私は、ATMの前に立っていた。
携帯の画面を見ながら、サイト業者への口座番号を打っていく。振り込み作業は面倒くさい。
ちなみにこのサイトでポイントを復活させるには最低3000円が必要。これでメール30通分である。振り込み手数料も420円取られる。次回があるか判らないが、振込み券と言うのを初めて作ってみた。次回の振込みの手間が省けるらしい。
昼休みも終わり、午後の仕事が始まって小一時間後、メールが入って来た。サイト業者からだった。ポイントが復活したと言う旨の知らせだった。日中は仕事なので、彼女にメールを送る事は出来ない。私の返信はもっぱら行き帰りの電車の中である。
そもそもがお試しで、暇つぶしで、Hが目的でもない私。勿論、折角こうして出会い系サイトなどをしているのだから、うまく行って恋人が出来れば良いなぁと言う淡い想いが無いと言ったらウソになるが…
「Hをするしないはともかく、会いませんか?」
この言葉にウソはなかった。そして彼女から返信。
「私もその方が安心します。逆援交とは言え、やっぱ初めて会った人といきなりは勇気も要りますから」
出会い系サイトをしているのだ。出会わなくってどうする!と言う気持ちが芽生え始めていたのもこの頃からだった。先にも書いたが、今までの無料の出会い系サイトでは相手と会った事はない。だから『会ってみたい!』と感じ始めていたのだ。
しかしである。私自身、決して人様に誉められるような部分がない。ラーメンの食い過ぎが原因であるかは定かではないが、体型も最悪だ。
仮に彼女が私に対して過剰な期待を持ってて、会った時に落胆されるのも自分が惨めだ。そう考えた私は、自分のプロフを書き換えた。全角100文字しか書けない所に私と言う人間を如何に表現するか?しかもウソ・偽りなくである。
プロフを書き終えた後、彼女にメールをした。
「会う前に私のプロフを確認して下さい。私のことを細かく書きました。それで嫌になったら会うのは止めませんか?」
それ以来、彼女からメールが返ってくることはなかった。少し残念だったが、少しホッとした変な気持ちが私を支配した。
折角復活したポイントもムダになりそうだったので、私は新たに掲示板に書き込みをした。実際、一日に何通もメールが来る事自体、おかしな事なのだ。過度の期待を持たせるのではなく、自分と言う人間をシッカリと見つめてメールを頂ける方が何倍も嬉しいし、救われるような気がした。
「メールを沢山頂きますが、メールする前に私のプロフを必ず確認してからメールをくれませんか?」
その後もメールはひっきりなしに来る。本当に彼女達は私のプロフを見てくれているのか?私のプロフはかなり酷い事も書いてある。しかも全て事実だ。それなのに…
中には高校生と思しき女の子までいる。おじさん好みらしい…本当かよ?
こうなると私的には選り取りみどりである。何気に「まゆ」と言う女性にメールしてみた。彼女は彼氏と別れたばかりだと言う。
「良かったら家に来ませんか?私、一人暮らしなんです。」
おいおい!知らない男を自分の部屋に誘うか?何か危険な香りがするぞ。
「またまた、そんな事言って、部屋に行ったら怖いお兄ちゃんとか居るんじゃないの?」
「そんなことないよ。一人暮らしだもん。」
信用して良いものか?
「じゃあ、彼氏と別れた君のヤケ酒くらいは付き合うよ」
自分でも『馬鹿か!お前は』と思うくらいあっさりと承諾してしまった。
聞くと彼女は同じ市内に住んでいると言う。ここまで書いて何だが、私も馬鹿ではない。この手のサイトには「サクラ」が居ることも知っている。業者の用意したサクラだ。従業員か何かがメールしているのであろう。私は少しカマをかけてみる事とした。
「君は市内の何処に住んでるの?」
「中田町です。」
おぉ、あるぞ!中田町。と言うことはこの子はサクラじゃないのか?ネットには距離的な概念がないから、業者が遠方からメールをせっせと送っていても、その地域でしか判らない情報を知りえるのは難しい。彼女は近所にイトーヨーカドーがあることも知っていた。これはサクラじゃないんか?本物か?
「じゃあ、今度の土曜日。田町駅で待ち合わせと言う事で。」
彼女との約束は交わされた。約束の日まではまだ間がある。もう少し彼女について探りを入れてみよう…
(つづく)
