| 血痕 完結編 |
公開日:2004/02/07
夜回りの二人と話していると警官が二名やって来た。
床屋の主人「じゃ、私達は夜回りの続きがあるんで。」
夜回りの二人はその場を離れていった。
私「ご苦労様です。」
警官「あぁ、これですね。本当だ。」
警官は肩越しの無線で状況を説明。その中の会話に少し腹が立った。
警官「現場には確かに血痕がありました。…」
『何だよ。ウソだとでも思ったのか?』
通報した本人が目の前に居るんだからもう少し言い方ってもんがあるだろう。俺はウソツキじゃないぞ!
警官「気づいたのはいつ?」
私「最初に気が付いたのは私ではなくて弟なんです。もう帰っちゃいましたけど。それから直ぐに電話しましたので、発見は20分くらい前です。」
母「私が帰ってきた時はもうあったよ。まさか血だとは思わなかったけど。9時半くらいです。」
母親は近所のデパートでパートとして働いている。今日は遅番で夜9時まで仕事をして帰ってきたのが9時半だったのは私も記憶にあった。
私「ここにガラスの破片があるんです。」
私はその破片を車のライト回りだと思っていたが…
警官「これはメガネだねぇ」
なるほど、そう言う推理も考えられる。そう考えると誰かに殴られてメガネが壊れたのか?靴跡は殴った奴か?
その後、交通課の警官もやって来た。交通事故の可能性を考えての事のようだ。
一気に7名の警官が私の家の前で現場検証をはじめた。血痕、靴跡、ガラスの破片、そして現場を少し離れた場所からと写真を次々と撮影して行く。
警官「言い争った声とかは聞きませんでしたか?」
私の家は店舗の奥に居住スペースがあるので、店の前から自室までは結構距離がある。
私「私は聞きませんでした。」
警官「おっ、血痕が向こうに向かっているなぁ。どこまであるんだろう?」
一人の警官が現場から続く血痕を辿っていった。その跡は40m先で消えていたと言う。と言う事は被害者は西に向かって歩いていった事になる。しかし例の足跡は東に向かって伸びていた。
私は素朴な疑問をぶつけてみた。
私「血痕は西に向かっている。足跡は東向き。これってやっぱケンカか何かしてお互い反対方向に進んだんでしょうか?」
警官「いや、この足跡は全く関係ない第3者が気が付かなくて踏ん付けて出来た物だろう。」
物事を悪い方へと見がちな私とは違いそこはプロ。冷静だった。
警察が今回の件をこのように結論付けた。
血痕の主はここで転倒。その拍子でメガネを損傷し、額あたりにメガネによる傷を負った。かなりの出血量があったと思われるがここでしばらくは止血のために留まったと考えられる。ある程度止血した所でこの場を立ち去った。足跡は関係ない第3者の物。と言う事だった。現場検証は終了した。
私「この血痕は残しておいた方が良いですか?」
警官「気持ち悪いでしょ。感染症なんかも心配ですから私達が帰ったら流しちゃって良いですよ。」
そう言って警官達は引き上げていった。
冬の真夜中。どこのどいつが置いていったか判らない血痕を洗い流す親子の姿がそこにはあった。
