REIWA NELSON ( レイワネルソン )

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住  所静岡県沼津市添地町144-10
電話番号055-952-7400
営業時間19:00〜2:00(月〜土)
定休日日曜
席数カウンター9 テーブル2
駐車場なし
緯度経度
(日本測地系)
N  35゚05'45.6''
E138゚51'34.5''
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最寄駅沼津駅(JR東海道本線)
沼津駅(JR御殿場線)
取材日2019/05/01その他の情報...
平成天皇の退位によって始まった令和という新たな時代。
平成を思い起こせば戦争こそなかったものの、暗いニュースが多かった。
バブルは弾けて経済は低迷し、東北の震災も経験した。
「失われた20年」と言われた1990年代から2010年辺りにかけての経済の低迷は日本全体に暗い影を落とした。

そして、現在の上皇陛下が2016年8月に発せられた御言葉は全国民に衝撃を与えた。
その御言葉に私自身、新しい時代の流れを感じずにはいられなかった。

令和という元号が政府から公開されてからこっち、国民は皆、新たな時代の到来を予見し、感じ、祝福した。
それは一つの時代の終わりであると同時に新たな時代の始まりでもあった。

そんな令和元年5月1日。沼津市内に新たなバーが誕生した。
その屋号を「REIWA NELSON」という。
実はオーナーバーテンダーはこのバー紀行でも過去に紹介しているBAR 多助の元オーナーバーテンダー。
改めて思うがもうかれこれ9年のお付き合いになる。

当時の私はバー紀行が始まったばかりで、掲載されているバーを更に増やそうと躍起になっていた頃だ。
ゴルフ好きなバーテンダーでゴルフ関連の調度品で溢れていた店内だったのを思い出す。
その所作はオーセンティックのそれであるが、バーテンダーが醸し出す雰囲気はショットバーのようで、気軽に立ち寄れるバーだった。
三島での営業は6年ほど続いたと聞いているがその後。沼津市内にある「BAR BREEZE BLUE」に籍を置くことになり閉店した。

GWは個人的に忙しく、オープン初日に伺うことは出来なかったが、久しぶりに(と言っても色々な場所でお会いしているが)カウンターに立つマスターの姿を見た。
この屋号、「REIWA NELSON」は元々この地にあったバー「NELSON」を引き継ぎ、令和の初日に間に合わせるために元号が決まった以降の1か月でオープンにこぎ着けたと聞いている。

基本的には前述の多助の頃の接客を踏襲しており、畏まることなく気軽に立ち寄れる雰囲気はマスターが作り出すもの。
今回、この紹介記事を書くために何度かお店に足を運んだ訳だが、三島に居た頃には感じなかった事を感じたのだった。

馴染みのお客様と席を共にする機会が多くあったのだが、その誰もがバーテンダーが沼津で修業していた頃からのお付き合いであると聞いた。
あくまで私見だがバーテンダーという職業は市議会議員に似ていると思う時がある。
市議会議員が志を持って市政に出ようと考えた時、その裏には支援者と呼ばれる市民がいる。
その人の人となりを昔から見ており、応援しようと思う意思が見える。
勿論、一見さんという飛び込み客も多いのがバー業界ではあるが、基本的には常連客と呼ばれるリピーターによって店は長く続くものである。
そんな風に考えた時、この店のマスターは「沼津のバーテンダー」であり、沼津が地元なんだと改めて感じたのだった。
前述した通り、私は彼とは三島で知り合った訳であるが実は「落下傘候補」のように支援者の少ない三島という土地で頑張った人なのだということを知った。
昔からの知り合いに囲まれて仕事をする彼を見ていると、何だか生き生きと楽しそうだ。

店内についても触れてみよう。
店内は奥まで続くストレートのカウンター席とテーブル席が1組。
テーブル席に座っている客はこれまで見た事が無いので多分、予備というか、荷物置き場っぽい使われ方の方が正解だろう。
店の奥まで続く大型のバックバーには数多くの洋酒やリキュールが置かれ、オーセンティックな雰囲気を醸し出している。

ゴルフ好きは相変わらずのようでご常連のお客様とのゴルフ談義は幾度となく聞いてきたが、今回に関してはゴルフバーのテイストは抑え目。
しかし、壁に飾られた横峯さくらが使用していたアイアンを見た時、多助時代を知っている私としては何故か懐かしさがこみ上げた。

メニューの類は置いてないがそこはバーテンダーに任せれば大丈夫。
気さくで飾らない所作は話し易く、緊張からカチコチになっているバー初心者をシッカリと受け止めてくれるであろう。

前述の多助での紹介文ではお料理について特筆しているが、そのスタイルはこの店でも健在。
チャームは少しばかりの小皿料理が出てくるが、バー飯も抜かりがない。

今回はメニューに餃子があるというのが面白いのだが、敢えてご紹介するのはナポリタン。
一人で切り盛りする店内でバー飯を提供するのは正直、大変なことなのだが、なるべく手間を掛けずに提供する創意工夫が見られる一品。
モチモチとした食感の麺は「茹で置き」という調理法によるもの。
「正統なナポリタンは、アルデンテなどであってはならぬ。」と誰かが言っていたのを思い出したが、正に高校生の頃に食べた昭和の喫茶店の味である。
大人になった現在はビールと合わせると幸せな気分になれるが、ジンフィズと合わせるとより喫茶店感が味わえるだろう。

令和がはじまって未だ半年も経っていないが、この令和という時代はどんな時代になるのであろう。
次の元号に変わる時、人生黄昏時の私はもう、この世には居ないかもしれない。
もし、仮に生きていたとしたら、この店で令和が始まった頃の話に花が咲くのであろう。
そして、この店でそんな話が出来る日が来るのを願って止まない。

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