【移転】Cafe & Bar hateruma ( カフェ&バー はてるま )

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住  所
電話番号
営業時間20:00〜5:00(火〜日)
定休日月曜
席数カウンター4 テーブル6
駐車場あり
緯度経度
(日本測地系)
N  35゚05'36.1''
E138゚55'43.8''
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最寄駅大場駅(伊豆箱根鉄道駿豆線)
取材日2011/12/23その他の情報...
バーに通っていると色々な人との人脈が出来ると言う話はこのサイトの中で事ある毎に話して来た。
バーテンダーとの出会いやお客との出会いが殆どであるが、たまに他のバーのバーテンダーに出会う機会に恵まれる事もある。
あるバーでの事。混雑する店の中で唯一空いていた一番奥のカウンター席。その席に座ってから小一時間が経過した頃であろうか。
「この隣の方は波照間のマスターですよ」
そのバーのマスターに紹介された。軽く会釈する彼。何故私に紹介しているのか?よく判らなかっただろう。
それが彼と私の最初の出会いだった。
 
このバーの事を初めて知ったのは食べログで市内のバーを調べている時のこと。
随分と街から離れた場所にバーがあるんだなぁと言うのが第一印象だった。
そして、特筆すべきはカウンター上に水槽があり熱帯の海水魚を見ながら酒が飲めると言う点だ。
これは一見の価値があるなと思ったのだが歩いて行くにはちょっと行き辛い場所だけに二の足を踏んでいた。
当時、行きつけのバーで波照間について聞いてみた事があった。
「あの店は車が突っ込んで今は改装中だって聞きましたよ」
そんな話を聞いていた。

「私が趣味でバー紀行と言うサイトをやっているんですよ」
マスターが何故、私に紹介したのか、事の詳細を話してあげた。
聞けば現在は店の改装も終わり営業していると言う。ただ、水槽に関しては撤去したと言う話も聞いた。
丁度、新しいバーを公開し終えた矢先だったこともあり、次はこの店を紹介しようと意外とすんなりと決めた。
それは彼の人柄に魅かれた部分が大きい。

看板前述通り、店は三島の中心街からはかなり離れ、最寄り駅である大場駅からも徒歩で20分程かかる。
取材日当日。外の気温は10度を下回っていると思われる。母親の実家に近いこともあり地理的には明るい場所ではあるが夜道は暗い。ロングコートにマフラーと言う完全防備でもなお、寒さが身に堪えた。
改装を期に屋号を「hateruma」と英語表記に変えたその店の前に立つ。バーにありがちな閉鎖的な店構えとはちょっと違い、店内を伺う事の出来る小窓が印象的だ。
「いらっしゃいませ」
ホットウィスキートゥデイコートを預けカウンターに腰をかける。先ずは温かい飲み物が欲しいとホットカクテルを頂く。暖かなウィスキーが身体に染み込み、凍えた身体が息を吹き返していく。
食べログに掲載されていた頃の店は前オーナーが経営しており、改装した現在は私が出会った彼がオーナーバーテンダーとして店を切り盛りしている。
店の屋号はその前オーナーが付けた名前をそのまま引き継いだようで沖縄にある「波照間島」が店の由来となっている。
30手前の若いバーテンダーだが、店内を見回すと私が最初に出会った頃に感じた彼が発する為人(ひととなり)が見えてくる。

本棚ダーツマシンなども設置され、若者をターゲットにした気軽なショットバーと言う趣きも一つにはあるのだが、ぐるりと店内を見回すと目に飛び込んでくるのが壁に掛けられた数冊の本が置かれた棚。
お酒関連の本に混じってエッシャーの騙し絵や星の王子様などジャンルも様々。
バーには大体カクテルブック等の本は置いてあるが、こう言うラインナップを選ぶ理由は彼自身が本好きだと言う事を雄弁に語っている。

店内また、壁に掛けられた絵も独特な雰囲気を持った物で、そこには黒人の少年とチーターが仲良く並んで描かれている。
仲良くとは書いたものの危険な動物であるチーターに寄り添う少年のどこか憂いのある顔を見ると色々な情景が想像出来る。
この絵を選んだ彼自身のセンスがただ若い人をターゲットにしただけじゃない、店の雰囲気を作り出している。

店内バックバーに目を向けるとモルトを中心としたスタンダードなラインナップ。
またカクテルの用意もありメニュー表もあるので初心者でもオーダーは容易い。
実は今回、取材する前に一度だけプライベートで店に来た事があるのだが、私の初来店のお約束であるジンフィズやマティーニ、前述したホットカクテルなどスタンダードカクテルなら問題なくオーダー出来るであろう。

ピザジェノベーゼフードメニューの用意もあり、パスタやハヤシなどのご飯物のメニューもあるのだがマスターのオススメはピッツァ。数種類あるピッツァメニューの中からマスターがチョイスしてくれたのが「PIZZAジェノベーゼ」と呼ばれるものだ。
チーズ、ジェノベーゼソース、生ハムからなるシンプルなピッツァであるが特筆すべきはピッツァの土台を担う生地を手作りしていると言う点。
具材が乗っていない円周部はクリスピーで歯応えが良く、中心部はややモッチリとした食感を持つ。生ハムを中心とする塩気と生地が口の中で良い塩梅を見せている。
サイズは12cm程度で独り飲みの私には丁度良い食べ切りサイズ。二人連れならシェアして他の味を試すのも良いだろう。
 
40過ぎの私でも居心地の良いと感じる空間演出はオーナーバーテンダーのセンスの良さやおもてなしの姿勢による部分が大きい。
有人島として日本の最南端に位置する波照間島であるが、この店は正に三島市の最南端に位置するバーなのである。

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