今日から８月。そして、今日は金曜日。
私は朝から沼津市内にある病院を目指していた。実は１年ほど前からお尻の辺りからたまに出血する事があったからだ。
実は先月。近所の病院で診察してもらうと…
「私は専門医ではないので断言は出来ないのですが、痔ろうかもしれませんね」
ジローはラーメンくらいで勘弁して欲しいものである。その痔ろうと言うのは痔の一種らしいのだが、所謂切れ痔やイボ痔と言った物とは少し違い、手術も結構大変なのだそうだ。しかも、癌化する可能性もあると言うことで早急に見てもらった方が良いと脅かされてきたのだった。
今回診察してもらう病院は専門医であり、看護師をしている友人や薬の卸しでお医者さんをまわってる実兄に紹介してもらった病院である。
前もそうだったがお尻系の診察は当然の事ながらケツの穴は丸出し。これまで築き上げた何かが崩壊するほど恥ずかしい格好で行われる。しかも、お尻の穴に指を突っ込む「触診」と言う診察である。突っ込む方も嫌だろうが突っ込まれる方もブルー極まりない。

「痔ろうじゃないですね。繋がってないみたいだ。」

興味のある方は調べると判るのだが痔ろうの場合、直腸から外部に向って管状の物が出来る。これが出血の原因で、この管は手術でしか治せない。しかも、2週間程度の入院を要する程の大きな手術が必要なのである。
結局、抗生物質で滅菌する事で完治するらしく、太い血管注射と投薬で様子を見る事になった。
と言う訳で大事には至らないと判った瞬間、腹が減った…。時間も丁度お昼前と言う事で未取材の新店へ向かう事にした。
20分後。
現地に到着した。今回、取材する店を麺屋すばると言う。この店も先週の麺屋ごとう同様、昼飯として一度だけ出向いた過去がある。ネット上の噂に寄れば、沼津のひこ星で修行された方が始めた店だという。
店先に共同の駐車場があるので入庫。店の外観を撮影して早速、店内へ。
店内に入ると直ぐ券売機が見えた。オーダーは食券制。つけめん、味付玉子をオーダーした。
平日金曜日の昼時の店内には先客が1名。既にラーメンを食べ始めている。お一人様ご用達のカウンター席に陣取った。
前に訪問した時はバイトっぽい女店員が居たのだが、今回は店主一人で切り盛りしているようだ。
厨房観察。
寸胴の数は中型の物が1器のみ。営業用のスープは大きな雪平鍋から小さな雪平鍋にスイッチ後、オーダー事に加温する小鍋系。麺茹では深ざるを使用したもの。湯で加減はキッチンタイマー管理で茹で時間は5分15秒に設定されていた。
麺が茹で上がると冷水で〆、同時につけ汁を器に注いで具材をセットして完成だ。
そして、つけ麺がやって来た。先ずは麺から食してみた。
麺は太ストレート麺。かん水の量は標準的。加水率は若干高めの印象を受けた。冷水で〆た麺はグルテン値が高いのか強烈なコシを備えている。何だか久しぶりに歯ごたえのある麺を食した気がする。そして、つけ汁へ移行する。
つけ汁のベースはげん骨、豚背ガラを軸にした印象。かなり粘度のあるスープから感じる豚の油の甘み、醤油ダレの塩味、魚介の風味、どれもが突出することなくバランスが良い。「またおま系」等と揶揄されるこの手の味ではあるが、このバランス感は安堵にも似た安定感を感じさせる。
具はチャーシュー、メンマ、のり、なると、ネギ。そして、別注の味玉。チャーシューは豚肩ロース使用の茹で豚。拍子切りにされている。メンマはかなりの量が入っており若干、香辛料系の香りを遠くの方で感じたのだが気のせいであろうか。味玉は黄身がネットリとしたタイプ。味付け自体はやや甘めに仕上がっている。
食後。スープ割りを行うのだが、通常通りに店員にお願いしても良いのだが、自分で行う事も出来る旨が書かれていた。
「スープ割り、自分でしても良いですか？」
店主に断りを入れてスープのある場所へ。そこにはスープ用の電気式加温器が置かれている。勿論、少量をレンゲに注いで飲んでみた。割りスープは軽い魚介系の風味のスープである。これを好みで何杯入れても良いのだがまぁ、限度はある。私はお玉に並々一杯入れてみたがちょっと薄まりすぎた感じだ。6〜8割程度で充分、飲める薄さになる。「覆水盆に帰らず」ではないが、元ダレがない以上、薄まったスープを元に戻す事は出来ない。
ひこ星もそうだが、この店にも「本店」と屋号に付いている。支店が出せるくらいになりたいと言う思いが込められているのか、ハッキリした事は判らないが、こんな部分からもひこ星という修行先が顔を覗かせる。