温度とスピード
めんどころ ひけん
【閉店】めん処 火拳

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SHOP DATA
住  所
電話番号
営業時間11:00〜22:00(月・水〜日)
定休日第3月曜・火曜
席数カウンター5 座敷12
駐車場あり
緯度経度
(日本測地系)
N  35゚04'32.7''
E138゚52'40.3''
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最寄駅
取材日2011/12/03その他の情報...

メニュー

特製つけめん+味たまご
900円
らーめん
650円
チャーシューめん
950円
みそらーめん
750円
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話は文頭から反れて10月中旬の事。
実兄からメールがやって来た。勿論、新しいラーメン屋の情報である。
「沼津の香貫にあった「向笠ラーメン」の跡で 「炎拳」と言うラーメン屋オープンの模様。」
相変わらずだが実兄の情報は早い。毎日、外回りをしている賜物である。
この向笠ラーメンと言う店は実は私自身は未食。他の人のブログ等で見てみると所謂サッパリラーメンが出てくるようで個人的には足が向かなかった店だ。
 
更にmixiを初めとするネット上でこの店のオープンが12月1日になった事を知ることになる。まぁ木曜日にお店に行ける訳もない私はとにかく土日が来るのを待った。
 
そして今日は土曜日。12月に入って最初の休日である。今年を振り返るにはまだちょっと早いかもしれないが後1ヶ月で今年も終わり。震災などもあって世の中的には色々あった一年だったが個人的にもバー紀行なども始め、色々な経験をした一年だった。
話が反れた。
でだ。今日は朝からこの新店へ向うために自宅を出発した。詳細な営業時間情報は何処からも伝え聞かないがまぁ昼過ぎにはやっているであろう。
12時過ぎ。
現地に到着するも店先の駐車スペースは満車。オープンし立てなので混雑するのは仕方ない。回りにはコインパーキングの類もないので仕方なく店の真ん前にあるホカ弁屋の駐車場に一時的に入庫し、駐車場が空くのを待つことにした。
数分後。
一台の車が出庫し空きスペースが出来たのを見計らい、店の外観を撮影してから入庫。そのまま店内へ向った。
店内はカウンターと座敷の構成。前述通り、前の店には入った事がないので前の店を居抜きで使用しているかは判らない。3つある座敷は2席が埋まり、カウンターは入口に一番近い1席だけが辛うじて空いていたので陣取ることにした。
私の座っている席から奥に厨房があるのが確認出来る。人の気配はあるが店員の姿が見えない。まぁ、その内気が付くであろう。
席に備え付けのメニューを見てみる。回りの客のラーメンを見てみると濁りの弱い醤油ラーメンをすすっている姿が見えた。初来店ではあるがその時点でちょっと変化球を投げてみたくなった。メニューは大別して醤油、味噌、ピリ辛系、つけ麺、そしてカレー味のつけ麺などがある。いきなりカレーつけめんなどと言う大暴投でも良かったのだがあくまでの変化球程度と言う事で特製つけめん、味たまごにすることにした。
数分後。
未だ私の入店に気付かない店員。どうなってんだ?前述した奥の厨房以外に私が座っている目の前に囲いのあるスペースがあって店員がそこに居るのが判る。
「すいませーん!」
声をかけるとやっと私に気付いたようでオーダーを取りに来た。若い男性店員である。オーダーは口頭。特製つけめん、味たまごをオーダーした。
店内を眺めていてふと気が付いた事があった。私の目の前にある囲われたスペースからキッチンタイマーの音がするのだ。それと同時に深ざるを持った先ほどの店員が麺玉の入ったざるを奥の厨房に運んでいる。そう、ここのオペレーションは麺茹で担当とスープや盛り付けなどの担当が分業になっているのだ。
この麺茹で担当はホール係も兼任しているらしく、麺を茹でている間に配膳なども行っていると言うこれまでのラーメン屋では見た事がないオペレーションなのである。
しかし、私はこのオペレーションに大きな疑問を持った。先ず、麺の茹で上がりをスープ担当に全く告げない事だ。私がこの状況で麺茹で担当になるとしたら、茹で上がり30秒前には奥の厨房に茹で上がりを告げに行くだろう。勿論、スープの準備をしてもらうためだ。ラーメンは麺が上がってからはスピード勝負。麺が上がってからスープを準備するなんて考えられない。まぁ、奥の厨房でどの程度の準備がされているのかは判らない。また、今回の私はつけ麺なのでその辺りのオペレーションはラーメンのそれとは違ってくるだろう。
先客のラーメンが仕上がり、奥の厨房から別の若い店員がラーメンやライスを運んできた。しかし、そのラーメンやライスはカウンター上に置かれただけで客の手元に到着したのはそれから1分程度後の話。そう、ホール係(麺茹で担当)の彼に任されているのである。その間にもどんどん温度は下がっていくであろう。
そして、私のつけ麺の麺が茹で上がり、奥の厨房に運ばれている。そして、奥の厨房からカウンター上に置かれる。まぁ麺は冷盛(ひやも)りだろうから麺が伸びる心配はラーメンに比べて少ないだろうが、つけ汁の温度が心配だ。
「大変お待たせしました。特製つけめんと味たまごです。」
ホール係の若者によってやっと運ばれてきた私のつけ麺。先ずは麺から食して…アレ?
その麺は見事に塊となって上がってきた。もしや、コレって熱盛(あつも)りなのか?熱盛りの場合、時間が経つと麺自体が持つ熱によって麺肌が乾燥し、麺同士がくっ付いてしまう。更に提供時間が遅いので尚更である。何とか数本の麺を剥がし食してみる。
『温い…』
ヌル盛りとでも表現した方が良いのであろうか。言わずもがな麺ものびている。こうなってくるとつけ汁の温度も心配だ。早速、つけ汁へ。
つけ汁は豚ガラ、鶏ガラを軸にした印象。醤油ダレをベースに若干の辛味と極僅かに酸味も感じる。こちらの温度は未だ食べれるレベルだが通常の温度と比べるとやはり低い。
具は麺の器にチャーシュー、半身の味玉、刻み海苔。つけ汁内に小さなチャーシュー片、白ゴマ、ネギ。そして別注の味たまご。チャーシューは豚肩ロース使用の煮豚。味玉は半身の方はハードボイルドの一歩手前の茹で加減ながら、別注した方は完全なハードボイルドタイプ。味付けは穏やか。
この店は3名の店員によって切り盛りされているのが最終的には判ったのだが奥の厨房に2名と言う配置。本当に奥に2名も必要なのであろうか。店の構造やコンロの関係で厨房が2つに分かれてしまっているのか定かではないがやはりラーメンの調理全体は一箇所で行うのが好ましく、このキャパでも1名で充分回せる。
それよりもホール係を専任させて接客の徹底と配膳スピードの早さの向上に努めた方が良いと感じた。
客を迎えるファーストコンタクトと客が一口目に感じる商品の味と温度。この2つが飲食業にとって一番重要なファクターであるのは私などが言うまでもない。
辛辣(しんらつ)な内容を書く事で嫌な思いをされる方が少なくない私のサイトではあるが私は敢えて書いている。そして、そこに愛を感じてもらえれば幸いである。

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