変えちゃいけないもの。変えなきゃいけないもの。
いしかわや
石川屋

photo

SHOP DATA
住  所静岡県熱海市銀座町9-3
電話番号0557-81-3075
営業時間12:00~15:00(月~水・金~日)
17:00~0:00(月~水・金~日)
定休日木曜
席数カウンター10 テーブル14
駐車場なし
緯度経度
(日本測地系)
N  35゚05'38.7''
E139゚04'34.9''
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最寄駅来宮駅(JR伊東線)
取材日2010/12/25その他の情報...

メニュー

特上ラーメン
1000円
ラーメン
700円
チャーシューメン
950円
ねぎそば
1050円
more...

ほんの思い付きで始めた年末特別企画、Tonight Eastの69杯 完全制覇の旅も今回の取材をもってすべてが終了する。そう、本日がラーメン紀行の今年最後の取材である。(多分)
今回、年末までに21軒の未掲載店を2ヵ月で廻り切ると宣言した訳であるが残す店は後3軒。そのうち1軒は休業中と言うことで行ける店は残す所、後2軒だ。
今回の企画を通して最初にルールをいくつか決めたのはコアなラー紀読者はご存知と思うが、その中でも頻繁に適用されたのがルール2の例外措置。掲載順に取材をすると言うルールであったが、最後の最後でもうハチャメチャになっているのも既知の事実であろう。前回、熱海の取材を行ったのだが、今回も昼の取材先は熱海。しかも、夜の取材は御殿場と掲載順とは程遠い取材順。上手くいかないものだ。
今回、取材対象となっている店は熱海でも人気店として有名な石川屋だ。この店の屋号も静岡東部のラヲタ諸君で知らない者はいないのではないか?と思える程の有名店だ。早速、取材を開始した。
店は駅からも徒歩圏内で立地は申し分ない。開店が昼の12時からと言うことで普通のラーメン屋よりはゆったりとした開店時間だ。自宅を出発して約1時間後。現地付近に到着した。店には駐車場がない事が事前情報として判っていたので近所のコインパーキングに入庫後。店までは徒歩で向かうことにした。
店は熱海銀座の近所にあった。店先に写真入りのメニュー一覧と並んで相互リンク先のかなり高橋氏が先日、出版した「静岡ラーメンマップ2」に掲載されている旨が飾られていた。ラーメン屋には珍しい自動ドアを潜って早速、入店する。
ある程度は予想していたが店内は客でごった返していた。厨房をL字に囲むカウンター席と壁際に並ぶテーブル席。テーブル席は満席。カウンター席に若干の空きがあった。入り口から一番近い、レジ横の席に陣取った。とりあえず、外で待つ事態にならずに先ずは一安心だ。
カウンターに備え付けのメニューを見る。今回の掲載メニューを探すためだ。あった。今回の掲載メニュー、特上ラーメンをオーダーした。
店内は店主と思しき初老の男性と初老の女店員3名の計4名の構成。これだけ繁盛しているのだ。フロア係が3名と言うのも納得の布陣だ。
私の入店の後にもお客は入ってくるが、連続して空いている席は既にない。私も隣の客とは一つ空けて座っている。そこへご夫婦であろうアベック(死語?)が入店してきた。女店員によって別の席に移されるかと身構えていたが一向にその気配が感じられない。業を煮やした私は「私がこちらへ移りますよ」とご夫婦に告げ、反対側のレジ横に席を自主移動した。
「すみません。ありがとうございます。」
いやいや、混んでいる時はお互い様だし、こんなことは造作もない事だ。
しかし、この役目を果たさなければならないのは店の人間である。店の人間はいつでも客の事を考えて行動すべきだと私は思っている。前回のわんたんやでは相席をお願いしたりとちゃんと客に対しても指示をしている。それは別に悪いことじゃない。今日は木枯らしも吹く寒い日。一人でも多くの客が座ってラーメンを待てるように配慮するのは店の仕事だ。
店先にもそろそろ行列が出来てきた。その度に旧式の自動ドアが反応して扉が開き寒い…最近の自動ドアってボタンを押すと開くタイプが多いが何故そうなっているのか、妙に納得した。と言うか、外で待っている客を何とかするのも店の人間の仕事だ。最近のラーメン屋、特に繁盛店と言うのは待っている客の整理や待つための椅子を用意したり、その辺りの接客って当たり前と思っていたが、いざそういう接客がないと、そういう接客が如何に重要なことかを思い知らされる。
厨房観察。
この店は寸胴の代わりに羽釜を使用しているようだ。羽釜を使用した店としては浜松で取材した蔵前家が最近では思い出される。しかし、営業用としての羽釜であり仕込用としては別で寸胴を用意していた。羽釜の欠点は寸胴に比べて仕込めるスープ量が圧倒的に少ないことだ。1クール6杯と言うハイペースでラーメンを提供する同店がこの羽釜で昼の部3時間の営業を乗りきれるのか?そう考えた矢先、羽釜にお湯が足される光景を目の当たりにした。出汁が薄まらないのであろうか?その点に関する疑問も次の瞬間に解決することとなる。丼に醤油ダレを入れた後、二郎と同程度の化学の力を発揮させている。この量は久しぶりに見た。麺茹では平ざるを使用したもの。茹で湯は約2クール毎に入れ替えを行っている。
そしてラーメンがやってきた。先ずはスープからすすってみた。
ベースのスープは鶏ガラを軸にした非常にサッパリしたもので動物系の出汁感は薄い。醤油ダレの効かせ方、特に塩味(えんみ)は弱く、全体的に甘めの味が支配している。この甘味は言わずもがな化学の力であり、食べ終わった後にも口の中に残る。私は化学調味料を否定はしないのはコアな読者の方は知っていると思うが、要は出汁とのバランスが大事だと思っている。使う量が多ければ旨味は確かに上がるが後味は芳しくない。事前情報で厳選素材を使用したと書かれていたが、これだけ化学の力を借りるとすべてが台無しになってしまうのはないか?と考えている。しかし、この味が好きな人が世の中には大勢いる訳で「この店」「この味」ということなのであろう。また、一気に大量の数を作ること、選んだメニューがトッピングが多いことも寄与しているのであろうか、スープの温度が若干低い。
麺は細麺で軽いウェーブを持つもの。かん水の量、加水率共に標準的な印象を持った。茹で加減はマズマズだがコシはない。そこは細麺なので期待していない。やや縮れているのでスープの持ち上げは良い。
具はチャーシュー、半身の味玉、メンマ、かまぼこ、わかめ、削ぎ切りしたネギ、ネギ。チャーシューは豚バラ肉使用の煮豚。柔らか仕上げで美味。味玉は黄身がトロトロのタイプで私好み。久しぶりの味玉は1玉食べたい気分にさせる逸品だ。わかめは個人的にはNG。このわかめが特にスープの温度を下げている。
この店は創業60年を越える老舗であると事前情報で読んできている。確かに製法も味付けも現在のラーメンとは異なっており、また、接客も現在のラーメン店とは異質なものだ。
しかし、私自身はこの味を変える必要はないと思っている。それはこの味がこの店を60年もの長き間、支えてきたと思うからであり、この味を求めて通っている常連さんも多く存在すると考えるからである。
しかし、自動ドアなどのハードな部分や接客と言うソフトな部分は時代と共に変えていっても良いのではないか?とも思っている。
変えちゃいけないもの。変えなきゃいけないもの。そのどちらも時代背景やこれまでの歴史も鑑みて判断する必要のあるものだと思っている。

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